農園見学「練馬区農業体験農園イガさんの畑」

当協会は、都市農地保全、多世代・地域交流を目的とした農地活用のモデルとして「わくわく都民農園小金井」を運営しています。「わくわく都民農園小金井」の運営と、さらに東京都より委託を受けている「体験農園等普及事業」「修了生人材活用事業」という2つの事業をよりよく進めていくために、たくさんの学びをいただきに、様々な農家さんのもとを訪れる機会をいただいています。
見学に行かせていただいた農園さんのご紹介とお話の一部をご紹介をします。

今回見学に行ったのは、練馬区にある農業体験農園「イガさんの畑」

練馬区にある農業体験農園「イガさんの畑」
練馬区で体験農園を4人目ではじめたという、以前見学に行かせていただいた「緑と農の体験塾」さん同様先駆者のお一人である五十嵐透さんの体験農園をご案内いただきお話を伺いました。

どんな農園？

平成11年4月に開園し、26年続けられている体験農園です。105区画の用意があり、区民をはじめ都民の方が利用されています。1区画約30㎡、農家さんからの栽培講習を行いながら、1年かけておよそ？種類の野菜づくりを体験できる農園です。種や苗、肥料、農具なども用意されています。

お話の一部をご紹介

「野菜をつくることで、楽しんでもらう」が目的
野菜って100パーセントできるって思う方もいるけれど、そんなものではない。できない難しさも含めて知ることができるというのが農業体験農園と五十嵐さんはお話されます。例えば、キャベツにはヨトウムシという虫がついたりします。まとまって孵化する頃に見つけられたらいいけれど、見逃して食べられてしまうこともあります。収穫はできる必要はあると思うけれど、「勉強しましたね！」とその経験ができること自体も体験。また、ほうれん草の小さいうちの柔らかさも味わえること、きゅうりがあっという間に大きくなってしまうことや大きいきゅうりも意外においしく食べられること等育てているから知れる姿や気付きも含めて楽しんでもらえたらいいなとお話をされていました。愛情持って育てて、自分で手をかけているものであれば、愛おしく食べたくなる。育てているからどんな形すら愛おしいものですよね、と。
「介護をしているお母さんを連れてくるのが目標」と通われている利用者さんもいて、収穫等楽しみや目標ができると意欲となれるから、そんなふうにこの場所をよく活用してもらえていいなと優しく話されている姿も印象的でした。

近くの農園は生活の一部、遠くの農園は非日常のリフレッシュ
農業体験農園は生活の一部になっている感じだと思うと、五十嵐さん。農作業をして野菜を持って帰ったりすることは、掃除をしたり、買い物をするようなことに通ずること。そんな生活の一部として畑に関わってもらっているんじゃないかなと話されていました。そんな生活の中で、畑で顔見知りになった方との付き合いも生まれていて、農園で知り合った人と飲みに行ったり関係性を築いている方もいるそうです。

体験事業と援農
「修了生人材活用事業」のこともあり、援農についてのお話をうかがいました。練馬区には「農サポーター」を育てる「練馬区立農の学校」があって、収穫体験をしていた時には「農サポーター」にきてもらっていたそうです。貸借をした畑で、トウモロコシ、枝豆、大根等の収穫体験をされていて時のこと。土づくりやマルチ張りまでは五十嵐さんが行い、種蒔き、草刈り等の管理作業や収穫体験当日の運営サポートは、5,6名の農サポーターさんに行なっていただいていたとのことです。体験農園だと継続して関わりが必要な部分もあるけれど、収穫体験は区切りもありスポット的な参加でも関われる形なので、援農する方も関わりやすいのではないかとお話くださいました。また、小学校の生活の授業等で一緒に野菜づくりをすることを体験しながら学ぶ機会がある時に、過程の管理作業を誰がするのかというのは課題になりやすいことであると。そんな場面が、わくわく農園修了生の方々の活躍の場に考えられるのではないかという提案もいただきました。

こちらは学ばせてもらうばかりの見学ですが、五十嵐さんはご自身の考えや意見をまっすぐに、しかしとても穏やかに柔らかく話してくださいました。野菜をつくりながら様々な経験をすることも含めて楽しんでもらいたいという気持ちがとても伝わりました。生活の一部であり、生活を少し豊かにする場所、それが五十嵐さんの体験農園だとお話を聞いて感じました。そんな場所が続いていくように、農業技術や農地が残る仕組み等課題は大きくありますが、事業を通して少しずつできることをしていきたいと改めて思いました。

体験農園をやってみたい方は応募の時期にぜひ！またご自宅の庭先販売所では苗の販売もされていましたのでお近くの方はぜひご利用ください。